カラスの勝手でしょ
とある家に咲くモッコウバラ。
モッコウとは木が香ると書くらしい。
相生陸橋下にある防災倉庫の隙間に放置自転車が2,3台ある。
その中の1台に住所と名前が書いてあった。
持ち主に教えてあげよう。
その住所をGoogleマップで目星をつけてさがす。
見つけた!
ブロック塀に囲まれたかなり古い一軒家。
錆びた門扉をあけてドアをノック。
鍵も閉まっていた。
生活の香りがしない、誰もいないのかな、と帰ろうとしたらカチャリとドアが開いた。
口ひげをたくわえた70半ばの男性が顔を出した。
自転車は半年前にパチンコ屋で盗まれた、そのあとは8千円で新しい自転車を買った、と言う。
デジカメで自転車と相生陸橋の倉庫の写真を見せた。
いきなり変なオヤジが訪ねてきてびっくりしたのか、余り喜んでいない。
「いい自転車でしたよ」と言うと「そりゃそうだよ、あれは2万4千円もしたんだから」と言う。
感謝してもらいたくて行ったわけじゃないが、ややガックシ。
道路わきに白いクレマチスが咲いていたので写真を撮る。
暫く行くと何かが頭にぶつかった!
何だ?
振り返るとバタバタという羽音。
カラスである。
この近くにカラスの巣があって、ヒナでも抱いていたのか?
そのカラスが街路灯の上から私を見ていた。
クレマチスの写真を撮る行動が気になったのだろうか。
他人がカラスに襲われたところは何回も目撃したが、自分がターゲットになったのは初めてだ。
街路灯のカラスに「何でこんなオヤジを襲ったの?」と問うと
「カラスの勝手でしょ!」と答えた。
赤いツツジが咲きだした。