自転車の鍵がない
朝から小銭が出て行く。
まず駐輪場で150円。
駅で週刊誌の350円、ビルの入口にある自動販売機でペットボトルを110円で買った。
そして職場でヤクルトのオバちゃんからピロリ菌をやっつけるヨーグルトを100円。
ポケットに残ったのは小銭490円。
昼はこれで済まそうと吉野家に入る。
吉野家はカウンターしかない。
席に座り「普通の牛丼!」と注文した。
すると「はい、並ですね、牛丼の並いっちょう!」とオーダーが通った。
ところで牛丼っていくらなのかなあ、と正面にある写真入りの値段表を見た。
何と380円だった。
上を向いた顔を戻すともうそこには牛丼が来ていた。
早い!
常連は「牛丼大もりつゆだく味噌汁それにサラダゴマだれ」と流れるように注文している。
帰る頃になると空から霧雨が降ってきた。
寒い。
このままだと雪になるかも。
南越谷駅裏にある大衆居酒屋「T船」に寄る。
小雨なので移動ができないからだ。
まず瓶ビールを注文。
気分的に生ビールとは言えなかった。
お通しにアンキモ。
へえ、アンキモがお通しとは豪華だね。
でも煮たアンキモだった。
この店は客担当のオバちゃんが多すぎる。
表に4人、厨房に1人いる。
客が来ないと集まって世間話をしている。
その後、牡蠣フライ、ニラ玉鍋を食べた。
飲み物はレモンハイ。
私が入って30分もすると座敷はいっぱいになった。
3人連れの中年男性がいたが、そのうちの一人は「オレ、魚だめなんだよ」と言っていた。
魚がダメじゃ居酒屋では食べるものがない。
店を出るとバリエでパンを買う。
いつもパターン。
この後がいつもと違った。
自転車の鍵がないのだ。
駐輪場の自分の自転車の前でポケットをまさぐった。
ない。
係りのオジサンが来て「さっきの人も自分の体中を20分くらい探していましたよ、そしてありました。」と言う。
興味しんしんな顔でオバちゃんがやって来た。
「鍵を壊したらどう」と助言。
「いや、スペアキーがあるかも知れないから、歩いて帰るよ」と諦めた。
霧雨の中をほろ酔いで歩く。