おくりびと
朝の散歩が終わり家の前に来るとムックの足が止まる。
まだ入りたくないのだ。
だから片手で抱き上げポストから新聞をとる。
これが毎朝の行動。
そのあと、洗面所の水を張ったシンクにムックを入れてママを待つ。
今日は仕事が休み。
ムックの世話は娘に任せて、ママと銀座に出る。
ピカデリー2で「おくりびと」をやっている。
まず指定席を買ってから銀座通まで。
今評判のH&Mはすごい列。
円高で割安になっているらしい。
それにしても人通りが多い。
松坂屋にある「ねんりん家」も行列。
ここはバームクーヘンの店。
ママは松坂屋でお買い物。
私は付近をブラブラ。
地下鉄の出入り口にサングラスをかけた外人が座っている。
やっぱりここは銀座である。
ピカデリー2は1階の一番後ろの席。
スクリーンが大きいのでここが特等席である。
「おくりびと」は主役が本木雅弘。
オーケストラのチェロ奏者だったが楽団が解散。
若い嫁と山形の実家に戻る。
ここでひょんなことから給料のいい納棺士になる。
葬儀社の下請けをしている社長(山崎務)の演技がいい。
亡くなった母を思い出し、涙もろくなった私はポロポロ。
ハンカチを目に当てると泣いてるとすぐわかるので、頬から首に伝う涙を拭く。
火葬場の年老いた係員(笹野)が「死とは門です、あの世に旅立つ門です」というセリフ、、思わずそうだなと頷いてしまった。
主人公は小さい頃、母親捨てて若い女と出て行った父親を憎んでいた。
この時点で私は、最後はやっと出会えた父親を納棺するのかな、と読んでいた。
そのとおりだった。
父親役が先日亡くなった峰岸徹。
どんな気持ちでこの役を引き受けたのか..。
いい映画だった。
映画を観終わって外に出るともう真っ暗。
焼き鳥が食べたいというママのために「ニュー鳥ぎん」に行く。
釜めしつきのコースで食べた。
生ビールを2.5杯飲んだのでいい気分。
また松坂屋方面を歩く。
まだやっていた「ねんりん家」の客の列に並ぶ。
20分くらい並んでやっと買えた。
女店員さんに「これだけ込むと疲れるでしょう」とねぎらいの声をかけた。
大きなお世話かも。
地下鉄にもぐる階段でドン小西と会う。
咄嗟に「ドン小西さん!」と名前を呼んだ。
すると黒い帽子被ったドンが「どうも」と返事をした。
別に彼と知り合いじゃない。
「あの男だれだろう?」と悩んでいるかな。
日比谷線に乗ると茅場町あたりで二人とも座れた。
酔っているので当然、眠る。