土手で弁当

osyousan2005-11-01


朝、ムックと用水脇の公園に行く。
息が白く見えるほど気温が低い。
でもいい天気である。
お隣さんのAさんが公園の木立を見上げている。
Aさんは半年前に引っ越してきたばかり。
釣りが大好きで写真はプロ級の腕前。
この用水に集まる常連釣り師の一人。
「おはようございます」と挨拶を交わした。


多分、町中で出会ったら挨拶できない。
老人はみな同じ顔に見える。
Aさんから見ると私もそうだろう。
だが違うことはムックを連れていること。
それでAさんも私だと気づいたようだ。


職場の素通しガラスから青空が見える。
そして風がない。
それを見て今日は弁当に決めた。
土手で食べようと..。


スーパーで鮭弁当を買う。
飲み物はカテキン茶。
袋はどうします?と言われたので当然お願いします、
と答えた。
ここではビニール袋が1円である。
トータルピタリ530円だった。


土手に出る。
ビニール袋を敷いて花壇ベンチに座る。
弁当のオカズブロックに鮭の切り身が長々と
横たわっている。
鮭を箸でつまむと、おっとっと、薄い蒲鉾が落ちてしまった。
ポカポカ陽気。
細い流れに立ちつくしている白鷺を見ながら弁当を食べる。
白鷺さんもしっかりと小鮒を食べなさい。


土手の上を白い犬が散歩している。
ワンコは私の頭の方で歩みを止めた。
いい匂いがするのだろう。
飼い主は40才くらいの男性。
手にビニール袋を持っている。
その中にはウンチが見える。
散歩中のウンチをしっかりと持って帰るのはいい。
しかし、紙にくりるんでビニール袋で撤去してもらいたい。
食事中の善良な市民にウンチ丸見えは酷い。
ここまで、ちょっとウンチを連発し過ぎた。


「まだ出ぬか ウンチするまで 帰れない」
犬の散歩をするひとじゃないと分からない川柳?


職場帰りに居酒屋「M」に行く。
テーブル席に別の居酒屋「D」のマスターがいた。
「D」のマスターはタクシーの運転手。
風貌はヤクザである。
暫くするとママがやってきた。
火曜日は休みである。
Dのママは昼から日本酒を飲みっぱなしらしい。
商売が飲み屋だが休みでも飲みたいようだ。


保育園の保母さんをやっているSちゃんがやってきた。
仲のいいTちゃんと待ち合わせのようだ。
気分のいい飲み方をするお二人。


失業中のEさんが顔を出す。
カミソリで剃ったツルツル頭をやめて
五分狩りにしていた。
だがてっぺんは禿げている。
いずれ神戸の実家に帰って就職したいと
言っていた。Eさんは51才で独身。
海外転勤を拒否して会社を辞めたという
強者である。


カウンターの端に60才半ばの老人と50前の女性が
座っていた。
老人はブルーの帽子、赤いベストにGパンで若々しい。
2人は焼き鳥にレバ刺し、カワハギの刺身、牛の煮込み、
などを注文してマスターとママにビールをサービスしていた。
最後はお土産の焼き鳥を受け取っていた。
帰った後、マスターに「2人の関係は?」と聞いたら
「最近来たばかりで俺にも分からない」と言う。
すると隣りにいたIちゃんが「ここに来るのは夫婦は殆どいないよ」と
答えた。


勘定を済ませて帰るとき保母さんにムックの写真が
納まっているデジカメを見せてしまった。
彼女もミニチュアダックスを飼っている。
「まあ、可愛い!」とお世辞を言ってくれた。
満足して店を出る。
今頃、あの犬バカが!と言われているかも?