昼火事

osyousan2005-10-25



まだ6時前にムックが動き出した。
私の耳の後ろをペロペロ舐める。
起きて散歩に連れて行け、という訴え。
今日は遅番なのでゆっくりしたいが、
可愛いムックにせがまれれば起きる爺。


外に出ると今日もいい天気。
弁当屋の窓が開いている。
そこから油の臭いが漂ってくる。
弁当は昼に限ったことではない。
朝8時頃配る弁当もあるのかな?


陸橋の階段を上がる。
ムックは階段の中央にある自転車用の狭いスロープを
スタスタとのぼる。
オヌシ、この階段を慣れているな。

陸橋の上に出ると車が通るたびに揺れる。
特に大型トラックが通るとすごい。
6時になると朝陽が昇り始める。
操車場が秋の陽光に明るく照らされる。
いい写真が撮れた。


今日の昼は大型喫茶店にした。
デジカメをタイマーで撮る時に使うセットを作るため。
これの1号作品はママが作った。
それを参考にして2号作品を昼休みに作ろうという計画。
茶店「S」に入ったのは1時過ぎだったが
込んでいる。

見回したら50人の客はいた。
その8割が女性、その9割がおばちゃんだった。
簡単なトーストとアイスコーヒーを注文。
ここの食パンは厚切りで旨い。
既にたっぷりのバターが塗られている。
これにマーマレードをつける。


トーストを食べるとおもむろにポケットに忍ばせた針金を出した。
これをくねくねと曲げて30分余りでデジカメ安定器2号を完成した。
まだまだ改良の余地はあるが..。

他人が見たらあの爺は何やってんの?と不思議がる。


職場の帰りはもう真っ暗。
1週間振りに居酒屋「M」に寄る。
カウンターは常連で満席。
テーブル席に入れて貰った。
ここは単身赴任の工場長とその愛人のスナックママがいた。
顔馴染みなので快く席を空けてくれる。


お通しにスモークの鴨肉が出てきた。
これが旨い!
この店に来るとまず冷や奴とキムチを注文。
キムチと言えば今朝のニュースで、韓国で中国産のキムチから
回虫の卵が出てきたと言う。
だがら中国のものは恐い。
生活に余裕がないから衛生観念が飛んでいる。
安かろう汚かろう、ってわけ。

自分の家で作るものが一番安心である。


思い出した。
大昔の話。
学生のとき女性と新宿の喫茶店に入った。
彼女は中学の同級生である。
楽しく話が弾んだ。
コップに入った水を飲もうとしたら、底にガラスの破片が
沈んでいた。
それによく見たら水も汚れている。

調理場にはニヤニヤ笑った若い男がいた。
あの野郎女なんて連れて生意気だ、水なんか洗い場の溜まり水でいいよ!と
コップにすくったのだ。

ウエイトレスに「水、取り替えて」としか言えなかった。


外で食べたり飲んだりしたのもは何が入っているのか分からない。
我が家が一番安心である。


Wさんと呼ばれる客が入ってきた。
年の頃、48才くらいで頭髪薄め。
するとMママが「ワンちゃん大丈夫だった?」と声をかける。
話を聞くと今日の昼の2時に近所で火事があった。
火の元がWさんの隣の家。
70才くらいの夫婦が住んでいるとか。
Wさんは独身で家にはゴールデン・リトリバーが2頭いる。
ご主人様が出勤中で犬は家の中。
隣りで火が出て消防車が来てワイワイ大騒ぎ。
それに水がジャージャー。
これじゃワンコはまいっちゃう。


幸い火事は燃え移らず鎮火した。
そして職場から帰った主人はこうやって飲んでいる。


優しい顔のゴールデンが目に浮かぶ。
そう言ったらWさんが携帯の画面を見せてくれた。
7才の母犬とその子供。
予想通りの癒し系。


牡蛎フライ、そしてイクラと昆布のおにぎりを食べて外に出る。
帰りに自転車でWさんの家を見た。
焦げた臭いがすごい。
警察の黄色いテープが貼ってある隣家は黒こげ。
この臭いじゃ鼻のいい犬はまいってるだろう。