キンモクセイ

朝、録画したＫ−１マックスを観た。
日本人ではじめてムエタイ王者になった
武田幸三に期待したがあえなくアンディ・サワーの
パンチに討ち死に。
武田は数年前、華々しくＫ−１の舞台に登場したが
魔娑斗に破れてからいいところがない。
強靱な体と細い目、は虫類のような外見がお気に入りだった。
武田の格闘技人生はこれで終わった。

総合格闘技でガブリエルに三角絞めで勝利した所英男がいい。
安アパートに住んで清掃の仕事をやりながらジム通い。
ひょひょうとした好青年。
柔道着を着込んで登場、際だった強さを見せた秋山成勲もいい。
ボクシング元王者のマイケル・ラーマを持ち上げてマットに落とした力は凄い。
２人は同じジムの先輩後輩。
「みのもんた朝ズバッ」に揃って生出演していた。

昼、和食レストラン「Ｍ」に入る。
カウンターの一番奥で壁に背もたれしているオヤジがいた。
片ひざを立てて、周囲を見回している。
目の前には今日の日替わり定食の唐揚げがある。
だがそれには箸をつけないで緑色の飲み物を口に運ぶ。
多分アルコールだろう。
私も日替わり定食を注文。
私がアイスコーヒーを飲んでいる頃、
オヤジは緑の液体をお代わりしている。
昼どきなのでオヤジのすぐ隣りに客が座った。
オヤジはしょうがない、と片ひざを下ろした。

勘定をするときレジのおばちゃんに聞いたら
「お馴染みさんです。お休みになると昼からああやって焼酎のお茶割を飲んでるんですよ」と答えてくれた。
羨ましい。
私も土曜日に神田の「王将」で生ビールを飲むことがある。
その時周囲に背広にネクタイの客もいたが、彼らからすると「昼間からビールなんて飲みやがって」と見られているのだろう。

店を出ると街路樹のキンモクセイが薫る。
地味な花だが実に存在感がある。
青空にキンモクセイ。
しかし、雨にも似合う。
我が家にも咲いているが．．．。

桜堤を歩く。
青空の下、いい気持ちである。
オーシンツクツクと蝉が鳴いている。
秋に聞く蝉の声は実にもの悲しい。
張り出した桜の枝に白い紐が垂れ下がっていた。
首吊りの紐のように見えた。
まさか。
子供がブランコにした紐かも知れない。

写真小は紫式部。