珈琲専門店
ムックと散歩に出るとまだ細かい雨が残っていた。
ムックは伸び縮みするリードを目一杯引っ張って陸橋下まで。
このリードは今から15年前に上司から貰い受けたもの。
上司が西ドイツにいる妹さんからベンツを送ってもらった時、
車の中にあったらしい。
だから made in WestGermany と刻んである。
当初は握りがごつくて使いづらかったが、慣れると便利。
さすがに丈夫でわんこ2代にお役にたっている。
予想に反して蕎麦屋が満員。
そこで前から入ってみようと思っていた喫茶店のドアを押す。
看板には珈琲専門店とある。
どこの喫茶店も昼時は食事を出す。
ママがすまなそうに「うちはパンだけですが、でもとても美味しいパンですよ」
という。
座ったのでもう立つわけにはいかない。
丸パンのトマトとベーコンサンド2個、そしてアイスコーヒーにした。
正面にはガティマラ、コロンビア、ブラジルなどと書いた瓶が
10数個並んでいる。
見るからに古い内装。
壁に珈琲のズタ袋が貼られている。
隣のソファにはOLがくわえタバコで週刊誌を読んでいる。
買い物袋を持ったおばさんが入ってきてカウンターに座り、ミルクを注文。
袋から大根が顔を出している。
ママと飼い猫の話をはじめた。
今度は70才くらいのお爺さんの登場。
「借金を払いに来たよ」と言って1,200円を払った。
地元に密着した店だった。
丸パンのサンドイッチを口に頬張りながら
「でも昼食には向いていないな」と思った。
写真上:職場のGママがTDLで買ってきてくれたわんこの縫いぐるみを
くわえるムック。どこが顔だかわからん。
写真下:すっかり汚れたうさちゃんの縫いぐるみ。