赤ヘリ

osyousan2009-10-17


中央線の高尾駅中央本線に乗り換え、勝沼ぶどう卿駅まで。
今日は東京都の高尾じゃなくて山梨の甲州高尾山をめざす。


勝沼ぶどう卿駅はその名の通り駅の周辺がぶどう園である。
ここでメンバー9人と落ち合う。



ここから大滝不動尊までタクシーの予定だったが道路工事のため、下山口の大善寺からの逆ルートへの変更を余儀なくさせられた。


タクシー2台に分乗して大善寺に向かう。
タクシーの中では、山を降りたら「天空の湯」でひとっ風呂浴びようなどと話をしていた。
まず大善寺にお参り。


拝観料が必要なので石段は登らない。
おや、こんなところに蟻地獄の巣を見つけた。
昔、お寺の本堂下の砂によくあった。



登山道はいきなり急登が続く。
すぐに汗が噴き出す。
ひーひーはーはー言いながらやっと鉄塔の下に到着。
ここでS賀さんから種なし梅干しの差し入れがある。
汗をかいた後は有難い。



私のズボンの上に置いた梅干しとペットボトルのキャップ。


登りはまだまだ続く。
登山道の周囲はススキの穂が揺れて秋真っ只中。


眼下に勝沼ぶどう卿駅が見える場所に来る。



下の赤い屋根が駅である。


S木さんがダウンした。
「疲れて気分が悪くなったから、先にいって欲しい」という訴え。


6月に新松田の矢倉山に登ったときにもそんなことがあった。
その時は30分くらい休むと回復して先発隊に復帰した。


私とF川さんが残り、あとの6人は頂上を目指す。
しかし、2時間たってもS木さんは回復しない。
胸から心臓にかけて痛くなったと、返って症状は悪化した。


先発隊に携帯して戻ってもらうことにした。
一刻の憂慮も許されないと、F川さんが尾根から119番の電話をしてくれた。


まだ意識がしっかりしているS木さんは「大袈裟だからあと1時間待って」と言うが、後悔したくない。
だって七転八倒している。


ヘリコプターがやってきた。
赤ヘリと言うらしい。
ヘリからスルスルと下りてきた勇敢な救助隊員。
手際良く病人を抱えて大空に飛び立った。


ぱらつく雨の中を下山すると、ヘリで運ばれた病院を確認。
心筋梗塞で緊急手術だと言う。


幹事のM山さん、I沢さんそしてF川さんとの4人で甲府の病院に駆け付けた。
ICUの待合室で祈りながら待つ4人。


手術は成功した。
看護師さんから「意識を回復した本人がお礼を言いたいと言うのでICU室に来てくれと」電話があった。
いやあ、最近こんなホッとしたことはない。


6月の登山から心筋梗塞の兆候があったようだ。
今回、不幸中の幸いと思われることが3つある。
1つ目は千メートルの山の上でも電波塔があったので携帯電話が通じたこと。
携帯電話がなければ赤ヘリは呼べない。


2つ目は倒れたのが樹木のない稜線の山道だったこと。
樹木があるとヘリから見えない。


3つ目はヘリで運んでもらったので早い対応が出来た、そしてヘリポートがある大病院だったこと。手術のエキスパートがいたのだ。


でも一番の功労者はF川さんである。
私が一人で残ると言ったら自分も残ると言ってくれて、119番でヘリを呼ぶ決断をしてくれたこと。
あと30分遅れていたら...。


奥様が病院に飛んで来た。
列車内では色んな悪い事を想像してパニックになったろう。
I沢さんが列車内の奥様に「手術は成功しましたよ」と伝言したのに怖くて携帯を開けれなかったと言う。


そんな話を聞いて我々も目頭が熱くなった。


甲府からスーパーあずさ32号に乗り込んだ4人、まずは良かったと缶ビールを飲んだ。