ぎんねこ



フリルのようなムックの舌。
何かを要求しているポーズ。


6日ぶりの仕事。
ムックに見送られる。
外に出ると怠け癖を払しょくするような冷たい空気。


新越谷駅下にあるコンビニでQUOカードを使って週刊文春と麦茶のペットボトルを買う。
レジの女性が何かを言ってQUOカードを返してくれた。
聞こえない。
私は笑って週刊誌と麦茶を手に取るとまだこっちを見ている。


つまり「カードの残高がなくなりました、支払いは現金しますか?」と言っていたのだ。
「すみません」ともう一枚のQUOカードを出した。
耳も悪くなったのか。



午前中の作業は書類の段ボール詰め。
冬場は紙で手を切ることがあるので持ってきた手袋をする。
けっこう汗をかくもんだ。


昼、市役所通りにある「ぎんねこ」へ入る。
かなり年季の入った建物だ。
この名前の由来はブログでも何回も書いたが、戦前はシルバーキャットという洋食店だった。
戦争がはじまると敵の言葉は使えないのでぎんねこになった。


終戦後、配給のそば粉をつかって洋食から蕎麦屋へと変身。


12時6分過ぎに入ったのでTV前のテーブルに座れた。
ここが一番いいポジション。


TVではNHKニュースをやっている。
仙石官房長官が更迭されるらしいが、私は嫌いじゃなかった。
肝が据わっているように思えたからだ。


今日私が食べたのは懐かしい煮干し味のラーメン。

これがまた旨い!
値段も500円と嬉しい。


「ここいいですか?」と私の前に座ったデブ男。
お茶が来る前に中腰になって「小かつ丼ときつねうどん!」と注文。
係りの女性が「小天丼ときつねうどんお願いしまーす」と厨房に告げた。
すると「ちがうよ、かつ丼だよ!」と大きな声。
そしてスポーツ新聞を取りに立ち上がった。


あっと言う間に満員になった。
食べ終わると「ごっそうさん」とお勘定をして裏のドアから外に出る。
俺ってこの店の常連だよというポーズである。



5時半、地元駅につくと真っ暗。
自転車置き場に入り赤いロープが巻いてある自転車を探す。
すぐに目にとまった。
目印がないと探すのに時間がかかる。
誰も真似をしていないのが不思議である。


国道手前、暗闇に浮き出たパチンコ店「楽園」。
入口で赤いスーツを着た女性が何かを配っていた。

寒いだろう。


家に着くとポラスの人がシステムキッチンの壊れた引き出しを見てくれてたった今帰ったばかり。
だからムックの散歩はまだ。
そこで着替えもしないでムックの散歩に出る。


またネコおばちゃんことS本さんに会った。
今日も迷子の黒猫ちゃんを探している。
「ムックちゃんみたいについて来ればいいんだけど..」と寂しそう。


散歩が終わるとムックは餌の要求。


一杯飲んでいると電話が鳴る。
大学の同級生T田くんからだ。
年賀状を見て思い出したのだろう。
「来週あたり久しぶりに会おうじゃないか」と言う。
いいとも!と私。


T田の奥さんは私の部下のお姉さん。
昭和49年頃、独身だったT田に私が紹介したのだ。
適齢期だったこともありトントン調子に話が進み結婚した。


当たり前だが、37年たった今も同じ奥さん。